開咬(かいこう)という噛み合わせをご存知でしょうか?出っ歯や受け口などに比べると、あまり聞きなれない噛み合わせかもしれませんが、日本では決して珍しい噛み合わせではありません。開咬は不正咬合の一種で、「オープンバイト」とも呼ばれており、見た目だけでなく、噛んだり話したりというような機能や、体の健康上においても様々なデメリットがあります。8020という80歳で20本以上残す目標の中で開咬の方で20本以上残っている方は0%です。今回は、開咬について、どのような特徴があるのか、開咬の問題点にはどのようなものがあるのか、開咬の原因、治療法についてご紹介していきたいと思います。
開咬の特徴は、上下の歯を噛み合わせた時に前歯が明らかに空いて隙間ができている、ということです。上下の間から舌が見えていることもよくあります。厳密にいうと、開咬には噛み合わせた時に奥歯に隙間が空いてしまう「臼歯部開咬」というものもありますが、一般的に開咬という場合には、前歯が空いている状態のことを指します。開咬は、数ある不正咬合の中でも特に様々な問題が起きやすく、矯正治療も難しいとされています。
開咬の問題点としては次のようなことが挙げられます。
奥歯しか当たらないため、噛み合う奥歯に相当なダメージがかかってしまいます。それが原因で、歯にヒビが入りやすい、虫歯になりやすい、詰め物が取れやすい、というようなことを起こしやすく、歯周病や知覚過敏も引き起こしやすい傾向があります。結果的には噛み合っている歯のダメージ過剰であまり歯が長持ちしないことも多く、その後歯を補う治療をしても噛み合わせの調整が非常に難しいという難点があります。
奥歯しか当たらないので、前歯でかみ切るということができません。そのため、舌を使って噛み切らなければなりません。
いつも口がぽかんと空いていて、唇を閉じようとするとあごに梅干しのようなシワができてしまいます。また、舌が歯の隙間から覗いていることも多いので、見た目がコンプレックスにつながってしまうことがあります。
前歯が閉じないので、サ行、タ行、ラ行が発音しづらく、息も漏れやすいため、滑舌が悪くなってしまいます。
常に口が開いていることによって、口が乾き、細菌が繁殖しやすいので虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
口の中が乾燥することで、口臭も起こりやすくなります。
口を閉めて食事ができないので、食べるときにくちゃくちゃ音が出てしまいやすく、周囲の人を不快にしてしまうことがあります。
奥歯しか使わないため、噛み合わせのバランスが悪く、顎関節症を引き起こして、顎周囲の痛みや、口が開きにくいというようなことが起こる場合があります。
よく噛めないことで消化器へ負担がかかりますし、口が開いたままであるため、口呼吸になりやすく、風邪をひくリスクが高くなります。
開咬の原因としては次のようなことが挙げられます。
開咬は親から遺伝することもあります。骨格はある程度遺伝するものだからです。
指しゃぶり
指しゃぶりを長く続けていると、骨格が変形してしまうことがあります。
舌癖
舌を前に突き出す癖、舌を噛む癖が開咬を引き起こすことがあります。
頬杖
頬杖をついて下顎を押し続けることによって顎の成長に異常が起こることがあります。
おしゃぶりを長く続けていることによって前歯が噛み合わなくなることもあります。
鼻炎や癖で口呼吸になっていると、口周辺の筋肉のバランスが崩れ、開咬を招くことがあります。
日常生活での悪い癖がある場合には、その癖を治す必要があります。もし仮に矯正治療をしても悪い癖が残っていれば、また開咬になってしまう可能性があるからです。その事から開咬の治療は後戻り率が高く、非常に困難な治療でもあります。舌癖を治すような口周囲筋肉のトレーニング(MFT)もよく行われます。また、装置に関しては、子どもさんの場合には乳歯列か永久歯列かによっても変わります。基本的にお子さんの場合には取り外し式のものが使われることが多いですが、状況に応じて固定式のものを使っていきます。
大人の場合にはどの程度の開咬かというのにもよります。歯の表面にブラケットと呼ばれる装置をつけて並べていく治療が多く行われますが、その際、歯を動かすスペースを作るために小臼歯を抜歯して並べていくケースが多いです。極端にひどい開咬の場合には顎の骨を切って骨を修正して矯正治療を行う外科矯正をしないといけないこともあります。
開咬は程度が軽くても、奥歯にのみ負担がかかってしまうため、歯の健康を損ねやすい歯並びだと言えます。特に自分で見た目など気になっていなくても、健康のために矯正治療を行うことをお勧めします。
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