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噛み合わせが深い「過蓋咬合」とは、その原因・特徴・治療法について

過蓋咬合(かがいこうごう)というのは、歯を噛み合わせた時に、下の前歯が上の歯に隠れて見えないくらい、深い噛み合わせのことを言います。深い噛み合わせなので「ディープバイト」と呼ばれることもあります。出っ歯や受け口、乱杭歯のような他人にもわかりやすい不正咬合とは違い、過蓋咬合ははたから見てもわかりにくく、本人ですら気づいていないケースが多く見られます。そのため、矯正治療が行われずに放置されやすい不正咬合なのですが、放っておくと色々なトラブルを起こしやすい噛み合わせなので注意が必要です。今回は、過蓋咬合の特徴とはどのようなものか、過蓋咬合の問題点、原因、治療法について見ていきたいと思います。

過蓋咬合の特徴

過蓋咬合は非常に噛み合わせが深い状態を言いますが、正常な噛み合わせの深さというのは、だいたい、下の前歯を上の前歯が1/3〜1/4覆っている状態です。過蓋咬合はそれ以上に覆われている状態で、重度のケースでは、全く下の前歯が見えないくらい覆われてしまいます。過蓋咬合は、その歯並びそのものに不満を感じて矯正治療を始めるというケースはあまりなく、別の原因、例えば下の前歯が上の歯の裏側の歯茎を噛んで歯茎が炎症を起こした、顎関節症で不快症状が起こった、などの不具合を理由に歯科医院を受診して過蓋咬合が発覚し、矯正治療に至るケースが多いと言えます。

過蓋咬合の問題点

過蓋咬合には次のような問題点があります。

■下の前歯が上の歯茎を噛みやすい

奥歯は噛んでいるうちにだんだんとすり減ってくるため、だんだんと前歯の噛み込みは深くなっていきます。そのため、次第に下の前歯が上の前歯の裏側の歯茎を噛むようになって傷つき、歯茎に炎症を起こしやすくなります。

■出っ歯になりやすい

奥歯がだんだんとすり減り、下の歯が上の歯の付け根部分を噛んでいる場合、上の歯がだんだんと突き上げられて出っ歯になってしまうことがあります。

■差し歯が外れたり、壊れやすい

噛み合わせが深いと、下の歯が上の歯を突き上げやすいため、上の前歯に差し歯やブリッジなどが入っていると、過剰な力がかかって外れてしまったり、壊れやすい傾向があります。入れ歯の場合にも、噛み込みが深いと入れ歯のプラスチックの部分が薄くなってしまうため、その部分から破折しやすくなります。

■顎関節症を起こしやすい

過蓋咬合は顎関節症を起こしやすい噛み合わせの一つです。過蓋咬合では、下顎の運動範囲が制限されてしまうため、顎に無理がかかりやすく、顎関節部や周囲の筋肉の痛み、口を開けると雑音がする、口が開きにくいというような顎関節症の症状が出やすくなります。

過蓋咬合の原因

過蓋咬合になってしまう原因としては次のようなことが挙げられます。

■骨格の問題

遺伝的な原因で上下の顎の大きさのバランスが取れていない場合や、何らかの原因でうまく顎の成長が行われなかった場合に起こることがあります。

■口周囲の筋肉の緊張

例えば、下唇が緊張して歯を圧迫するような状態になっていると、下の前歯が内側に倒れてしまい、過蓋咬合になりやすくなります。

■乳歯の早期喪失

乳歯の時期に、外傷やひどい虫歯で早期に歯を失ってしまうと、歯並びがずれてしまい、その後に生えてくる永久歯が正しい位置に生えず、噛み合わせが深くなることがあります

■奥歯の問題

奥歯がきちんとした高さまで生えなかったり、虫歯などで奥歯が抜けたまま放置し、噛み合わせが低くなってしまうと、前歯の重なりが大きくなります。

■前歯の問題

上の前歯が過剰に生えて伸び過ぎてしまった場合や大きすぎる場合、そして、唇の力が強過ぎて下前歯が内側に倒れ気味になり、前歯の噛み込みが深くなる原因になります。

■噛む力の負担が大きい

噛む力が強い、歯ぎしりをしてる、というような場合、奥歯がすり減るスピードが速くなります。奥歯のすり減りが大きいと、前歯の重なりが大きくなっていきます。

過蓋咬合の治療法

過蓋咬合の治療法としては、まず乳歯だけの時期であれば、器具をつけて治療するということは行わず、歯並びに影響する悪い癖があればその癖を無くしていく、ということを行います。

小学校に入ってからも悪い癖があれば、それを直しながら前歯の傾きを修正したり、簡単な装置で顎の発育が健全に行われるように誘導していきます。

永久歯に全部生えそろってからは、顎の骨の成長がまだ見込めるようであれば、装置で顎の発育を促し、なるべく抜歯を行わずに矯正治療を行いますが、過蓋咬合の程度がひどい場合などは、やむをえずどこかの歯(通常小臼歯)を抜歯して歯を並べていくことになります。

過蓋咬合は自分ではなかなか不正咬合だと気づきにくく、しかし放置しておくと、様々な悪影響が出やすい歯並びです。もし鏡で見てみて噛み合わせが深いと感じるようであれば、不具合が出る前に一度ご相談ください。

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