3歳から始める歯並びの治療
1歳半検診や3歳検診を地域の保健センターなどで指摘をうけた、又はご自宅で仕上げ磨きの際に気付いたという親御様は多いかと思います。
一つは指しゃぶりによる出っ歯
一つは受け口
指しゃぶりによる出っ歯はご家庭でも、癖を減らしていくことで改善することがあります。
受け口には、機能的矯正装置を入れて頂く事で改善が見込める場合があります。
ただ、反対咬合が治っても、成長期に後戻りしたり、再治療が必要になる可能性がありますので、治療終了後も経過観察の為中高生になるまでは定期健診にお越しください。
後戻りの原因は?
癖 舌を正しいポジションにおいていない為後戻りが起こりやすい可能性があります。
治療開始より、正しい位置に舌をポジションさせたりMFT(口腔筋機能療法)によるリハビリが必要になります。
口腔筋機能療法(MFT)とは?
歯並びや噛み合わせの乱れは遺伝だけでなく、幼少期からの生活習慣も影響します。指しゃぶりをや口呼吸をしたり、舌で歯を押すなどの癖があったりすると歯並びが乱れてしまいます。それにより筋肉のバランスがくずれることで引き起こされる事で歯並びが綺麗になっても後戻りのリスクが出てきます。それを改善するために行うのが舌を始めとする筋力トレーニング「口腔筋機能療法(MFT)」です。
お口まわりの筋肉のバランスを整えて鼻呼吸を促し、歯並びを乱す原因を取り除き、本来の歯並びを取り戻すことにつなげる療法です。
お口まわりの筋肉のバランスがくずれると、さまざまな歯並びの乱れを引き起こします。その改善のために舌や口唇、頬などの口腔顔面筋のトレーニングを行って筋肉の調和をはかります。
安静時
唇がリラックスしており自然な鼻呼吸ができます。舌は上の顎にくっつき、上下の歯は離れています。
咀嚼時
食べ物を前歯で噛み切り、小臼歯で細かく砕き、大臼歯でつぶします。舌で食べ物が歯の上にのるように動かし、唇をとじたまま咀嚼します。飲み込むときは、上下の歯が合わさります。
口呼吸による弊害
○歯肉炎を起こしやすい
○歯並びが悪くなりやすい
○口が無意識に開くことで見栄えも良くなくなる
○顎の周りがたるみやすくなる
○歯が着色しやすくなる
○皺が寄りやすくなる
○口からの汚染空気により咽頭部に炎症が起こりやすくなり、インフルエンザや風邪の感染リスクが高まる
○鼻での呼吸が出来ないことで蓄膿(副鼻腔炎、上顎洞炎)になりやすい
正しい食べ方とは?
食べ物を飲み込むときに、舌を上顎の内側の口蓋と言われる部分に収まっている事が正常ですが、異常嚥下癖の方や受け口の方は飲み込むときに下顎の前歯につけてしまいます。
その為、下顎を前に押すために、下顎が前に出てしまいます。
改善するための装置を装着すると、舌は上アゴにつきます。その為、上アゴが前に成長します。
このように、受け口を治すためには、舌が正しい位置に行くように癖づける必要がありますが、装置とトレーニングにより改善しやすくなります。
また装置装着により、上唇が上の前歯に当たらないようになる為、上唇の力を排除することができるので、上顎の成長を促します。
受け口は放置して自然に改善されることはまずありません。
上の歯より下の歯が5~6本出ている、噛み合わせが深い、ご両親、御兄弟、親戚など近い家族の方に受け口の方がいるなどの場合は、特に自然に治る確率の低くなります。
大人になってからの受け口治療は外科手術を併用した矯正治療が必要な場合もある上に、必ずしもキレイに治るとは限りませんので、低年齢からの早期治療をおすすめしています。
発音に影響が出ることもあります
受け口による歯並びが原因となり、サ行やタ行などの発音が難しかったり、舌足らずな話し方になったり、受け口による前歯の歯並びにより前歯で噛みにくいなど、さまざまな影響が出ることがあります。
また受け口である見た目がコンプレックスになり心理的な影響を与える可能性もあります。
反対咬合のままだと下顎が成長しやすくなってしまう
反対咬合のまま放っておくと下顎が成長しすぎてしまう可能性が高くなります
最後に
早期から歯並びの治療に介入するという事は、成人になり始めるよりも問題が大きくなり大火事になる前のボヤを消火するようなもので、第二次成長期に起こる下顎の成長を見越しての対策が取りやすいという大きなベネフィットがあります。
成長の予測は困難ではありますが、出来るだけ現状での問題点を改善しておくことで将来のリスクを減らせる事が出来ます。
先ずは、歯並びの問題により3歳検診などで指摘されたり、ご自宅での仕上げ磨きの際やお気づきになられた際には来院ご相談下さい。